2008年 02月 22日
売り込みに来たカメラマンY君にメールしようと思ってやっぱり送らなかったもの
今日はどうもありがとうございました。

のっけから
不機嫌そうな顔で悪かったね。
実はあの前、人事についてマネジメントについて
上司と話しあっていたんだ。
以前、労働組合の三役をやっていたから
すごい懐かしい感じなんだけど
その人の仕事をどうするか、ということについて話し合うことは
その人の人生に大きく関わることだから
ひどく疲れる。
そんな疲れを20代後半の頃に経験してしまったからか
以来、わりかし不機嫌な顔をしていることが多い。
まぁ、これは言い訳か。

見せてもらった写真について
何も良いことを言わなくて御免。
でも、実際いいところは何もなかった。
こないだ、趣味で撮ってますという
長谷川京子さんの写真を見せてもらったけど
正直言って、そっちのほうが遥かに良かった。

ある意味、当たり前だよね。
女優という立場で映像や写真、
ビジュアルと深々と交わっていくことを続けてきた彼女。
JALパック(古い言い方だなぁw)のはしくれの大学を出て
30まで「人に言えるほどの仕事をしたことがなく」て
スタジオマンを2年やって、どっかのプロカメラマンに半年就いただけの君。

ほんとうに酷い写真ばかりだった。
デジタルでなく、フィルムにこだわって撮っているようだけど
あれじゃフィルムが可哀想だ。
人を撮っているのか、モノを撮っているのか、
空間を、グラフィックを、空気を、撮っているのか。
いや、何も撮っていない。
アタマの中にある、誰かの撮った、
雑誌のどこかで見たことのある写真みたいな写真を撮ろうとしているだけだ。
カメラアイというものが備わっていない。
目の前の事象に興奮していない、魅せられていない。
自分の眼の中でエフェクトをかけるようなことさえしていない。
そのくせ、シャッターは押すんだ。
ああやって見せるためだけに。

何事も捉えてられていないから
「とりあえず人を正面から撮ったものを、また今度見せてよ」
ひどく疲れていたからか、人に優しくしたい気分だったのか、そう言葉をかけてみたら
「そういうのって、僕の中ではもう流行っていないんすよね」
「人を正面から撮るのって、そんなに難しくないと思います」
と返ってきた。
怒鳴りあげてもよかったけれど、
酷い写真も相まって、そんな元気はこっちにはなかった。
もう33歳だという君に、何と言っていいんだか途方に暮れてしまった。

でも、そんな酷い写真でも
仕事をくれるところがあるんだなぁ。
死ぬほど驚いたよ。
「プレイボーイ」に「Grazia」、それからもう一誌だけなんか言ってたけど忘れた。
怒鳴りあげるべきは、
君に仕事をくれた編集者だね。
本当に。

最後に
「じゃあ貴方はどんな写真家が好きなんですか」
「そんなもん意味あるか?」
「でも、ぼくはそれがいちばんさんこうになります」
こういうやりとりの末に、
結局、ど忘れも手伝って、何も示してあげられなかった
好きなカメラマンについて知らせることにするよ。

まず、名前をどうしても思い出せなかった
花田さん時代の「マルコポーロ」の表紙のカメラマンは
高橋恭司さんだった。この人の名前を思い出そうとするといつも都築響一が邪魔をする。
ありゃ、よかったね。
話したように、特にともさかりえのが最高。


それから
「職業的でありながらファインアートに通ずるカメラマン、写真家がごく稀にいる」
と話したら
「ぼくはそういうふうになりたいんです」
と君はいったけど
まず絶対無理だから。
なぜ、無理かは、これでも見てみて。
これらを見てもわからなかったら
これでも買って読め。

上の三人は
まごうことなき、「職業カメラマン」だけど
スタートラインと、考え方を間違ってしまった
君がこのレベルまでたどり着けるとは思えない。

山田太一はこないだ言ってたろ。
頑張れば夢がかなうなんて、嘘だ、と。
あれって、ある程度まともに働いた人ならば
誰もが思うことなんだ。
永ちゃんの『成り上がり』とか
誤解されているかもしれないけど
がんばればGOLD RUSHだなんて
どこにも書いていない。
世の中の不公平が底抜けに面白く
書かれているだけだ。

でも、頑張れば
何かしら世の中の役に立つことはできるかもしれない。
写真以外で、だとは思うけど。

その人の仕事をどうするか、
ということについて話すことは
その人の人生に大きく関わることだから
ひどく疲れる。
そんな後、
一枚のいい写真に出くわすことで
ひどく浮かれてしまうこともあるけれど。

by gajiroe111 | 2008-02-22 04:23 | スーダラ


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